<詩を音楽にのせてコンサート>神戸文学館で

 昨日王子動物園の西角にある神戸文学館で、ヴァイオリンの調べにのせて自作の詩を朗読するコラボレーションの試みがあった。神戸在住の従姉妹が教えてくれた催しである。

 たかとう匡子氏をはじめとする5名の神戸で活躍されている詩人の七篇の詩を、ヴァイオリニストの外薗美穂氏に2ヶ月ほど前に送り、外薗氏がそれぞれの詩のイメージに合わせた曲を作られて今回のコラボレーションが成立したそうである。

 本番前に時間の余裕をもたせて会場に到着すると、幸い外薗さんのヴァイオリンと朗読との音合わせの場面に遭遇した。そのときはまだそれが外薗さんのオリジナル曲だとは知らなかった。聴きなれない曲ばかりだったので、イザイやハンガリー事件を機にウィーンに亡命したリゲティなどの20世紀に活躍した、私があまり詳しくない作曲家の曲を選ばれたのかと勝手に思っていた。

 外薗さんのヴァイオリンの音色は、それぞれの詩に寄り添い、静謐な世界を醸し出していた。詩は、もうすぐ18年目が巡ってくる阪神淡路大震災への想いに関するものが多かったように思う。

 自作の詩を触媒にして生まれた音楽にのせて朗読できるとは、なんと贅沢な体験をみなさんなさったことか!羨ましい限りである。今回の<コラボレーション>の試みは、音楽家の才能と尽力に依るところが大きい。外薗美穂氏のプロフィールを拝見すると、久合田緑・河野文昭という超一流の音楽家に師事されていて、なるほどとうなづけた。あとで少しお話させていただいたが、素敵な笑顔で、とても自然な雰囲気の方であった。

 神戸文学館では、これが初めての詩と音楽のコラボの企画であるとのことである。コラボレーションとは、異なったジャンルの芸術が出会い、刺激を受けながら新しい世界を見出し創出していくことだと思う。「この試みがもっと続いて、音楽に触発された詩や、音楽と呼応する朗読の試みなど、詩の側も新しく生まれる試みができたら楽しいだろうな。」と考えながら帰路についた。