早春の森に行ってきました

 福井県三方郡美浜町に「森と暮らすどんぐり倶楽部」というログハウスを中心にした自然に学ぶ場がある。春は野鳥の声を聴きながらの山菜採り、夏は前の清流で鮎がたくさん獲れる。農林体験、漁業体験など様々な体験コースもある。秋は紅葉が美しく、きのこ狩りや木の実採り。ガマズミの実は、カクテルみたいに美しい紅のおいしいジュースになる。

 ここを運営されているのは松下照幸さん。「森と暮らすどんぐり倶楽部」を拠点に、再生可能エネルギーを利用し、自然との出会いをプロデュースしながら地に足のついた脱原発を実践されている。

 

 まずはオリエンテーリング。松下さんの案内で、ログハウス周辺を散策した。今ミツマタや馬酔木の花の盛りである。ヨモギ、蕗の薹・・・松下さんが摘んで差し出される山の幸の匂いを嗅ぎ、噛んで味わいながら五感が研ぎ澄まされていくような不思議な喜びがあった。ワサビの葉は噛みしめてしばらくするとツンと辛味が追いかけてくる。松下さんは、あたかも大地の秘密を私たちだけにこっそり教えるように、とても嬉しそうに伝えてくださる。我々も松下さんの自然の命を愛しむ力に吸い寄せられるように、ついて歩いた。敷地内には、木を乾かす材木置き場や、木工製作のための小屋 もあった。

 ストーブやお風呂も、ここは薪を燃やして熱を得ている。

お昼は、炭火で焼くバーベキューを頂いた。炭の真上で団扇を強く素早く扇ぐと次第に炭が熾りはじめる。スイッチひとつで熱や光を得る電化生活に溺れてしまっていた身には、根気と力を要する難しい作業であったが、火が熾る瞬間の感動を味わうことができた。

 炭火で焼いた上質のお肉と、地元の無農薬野菜のおいしかったこと!!

 

 森には、6時間くらいしか滞在できなかった。しかし、全身が完全に森に馴染んでしまっていたのだろう。イルミネーション輝く不夜城のような三宮にマイクロバスで帰って来たとき、みんなの目にその人工の光の渦が異様に映った。あとでよく考えてみればわたしたちホモ・サピエンスも自然の一部、自然の命の一粒、 ご先祖様は森の仲間であった。おいしい空気が細胞の一つ一つを生き返らせ、樹齢200年の欅の幹に触れると涙がでるほど懐かしかったのはあたりまえのことであった。

 子ども会や保育所の体験学習、家族連れなどに是非活用してほしい穴場スポットである。

 

<森と暮らすどんぐり倶楽部> 予約制・毎週水曜日休み

Tel・Fax 0770-32-3330

〒919-1144 福井県三方郡三浜町新庄